龍馬プロジェクト東海ブロック研修会1日目に参加しました。
「心の病はこうして作られた
~ 精神医学の真実を知ることで、助かる命がたくさんある~」
講師:小倉ゆずる 氏(市民の人権擁護の会日本支部 支部長)
精神医学に関し、精神医療の現状や向精神薬など薬物治療に依存させる問題、強制入院の実態など多くの課題についてお話がありました。
2001年、自身が運営するスイミングクラブに通っていた小学生が「頭の病気」と診断され、70日間の入院後に意識がもうろうとした状態になっていたことがきっかけで、向精神薬の問題、精神医療に関心を持たれました。その子どもが服用していた「リタリン」は覚醒剤に近い成分を含む薬でした。これを医師が処方し、保険で購入できるという現状に疑問を持たれたそうです。
精神医療の現状を調べると、日本では毎日500件の強制入院が行われており、これは世界的に見ても突出して多い状況です。入院患者のうち、50年以上も精神病院に閉じ込められている方が1,773人いるとわかり、最長では98年間も入院していたケースがあるそうです。
精神疾患について、以下の2点を指摘がありました。
- 精神疾患は、患者が減らないこと。
- 診断によって患者にできてしまうこと。
現在、精神科には374の診断名がありますが、それらの病気はどれも「完治」することはなく、ほとんどが「寛解(症状が落ち着いている状態)」とされるのみだそうです。
精神科医の治療によって患者が本当に回復しているのかを見極める必要があるとのことでした。
また、薬の副作用の発現率も注意が必要です。
精神疾患の診断基準の曖昧さの問題については、19世紀にドイツで「精神」という概念が再定義され、「精神は存在しない」とされました。これが現在の精神医学の基礎となっています。また、ドイツの精神科医クレペリンは、人々の行動を細かく分類し、1,500以上の病名を作りましたが、その分類には科学的な根拠がないとされています。
かつて精神疾患は遺伝によるものとされ、それを理由に優生思想が広まりました。日本でも、精神疾患を理由に強制的な不妊手術が行われた過去がありましたが、現在に至るまで精神疾患が遺伝によって引き起こされるという科学的証拠は示されていません。
国際的な動向としては、明るい話題として、2023年10月、国連とWHOは「生物学的精神医学との決別」を表明し、各国政府に向けた法整備の指針を発表しました。イタリアなどでは、精神疾患のある人を病院に送らず、一時的なシェルターで保護する取り組みを進めた結果、予後が良くなったという報告があるそうです。
【参加者との質疑応答】
講演の後、参加者からの質問に対し、小倉氏は以下のように回答されました。
- 薬をやめる方法について
精神科の薬をやめるには、慎重に進める必要があります。離脱症状が出ることが多いため、医師の指導のもとで減薬することが重要です。ただし、現在の医学部教育では「薬のやめさせ方」を学ぶ機会がほとんどないため、専門的な知識を持つ医師に相談することが望ましいとのことでした。 - 精神疾患のある人への対応
近所に精神的に不安定な様子の人がいる場合、まずは「あなたの話を理解したよ」と安心させることが大切です。ただし、同意しすぎると依存関係になるため、「私は同意はできないけれど、あなたの話を理解しているよ」と伝えることが良いとのことでした。
【まとめ】
小田氏の「知識には責任が伴う。責任を担うほど自由になり、責任を手放すほど奴隷になる社会ができる」との言葉が印象的でした。
今後も、精神医療の現状について正しい知識を持ち、社会全体で考えていくことが求められると感じた講演でした。
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