子どもたちの食育(6月18日)

6月18日(日)第5回椙山女学園食育推進センター講演会に参加しました。3人の講師の方による講演でとても充実した時間を過ごさせていただきました。

 

第5回椙山女学園食育推進センター講演会

 

特別講演『健やかな生活習慣を支える“食と健康”の先端科学』 講師:阿部啓子氏(東京大学名誉教授・特任教授)

このかた、ひょうひょうと無駄のないお話をされるのですが、とても品のあるかたでした。
少し紹介すると、すっかりCMなどで聞きなれたトクホ(特定保健用食品)1991年に厚生省(当時)が制度化したものですが、疾病リスクを減らすとの実証済みの食品でもまずいと習慣としての摂取ができない、やはり美味しいことが大切であるというお話でした。今のトクホは、『美味しく手軽で、処方箋要らず』だそうです。

トクホは1993年Natureで紹介され、機能性食品『functional food』として、国際的なものとなって広まり、世界に研究者が育っているそうです。

では、『美味しいと感じるのは何か?』というとコントロールできない生理的に好きなものは砂糖、油、アルコールだそうです。これらを見ると、脳が直感的に『好き!手を伸ばせ!』と指示するそうです。でも、昆布やカツオのだしなどは子どものころから食べ慣れることで美味しいと感じるようになっていくということでした。味覚は覚えることのできる時期というものがあるのではないかということです。健全な味覚を記憶するには子どもの時の食生活が大切(食育の必要性)だということでした。

☆毎日の食卓を楽しくし、美味しさに目覚められる環境をつくっていくのは親の務めだなと改めて感じました。

実践例紹介『子どもの望ましい食の“習慣化”を目指した研究と実践』 講師:赤松利恵氏(お茶の水女子大学大学院人間文化創成科研究科準教授)

このかたは講演の内容をこれから公に発表するそうなので、軽~く紹介しますね。
行動科学の視点から食行動を変えていくお話でした。
行動科学の視点で人は、その食品に栄養があるという知識があっても、その食品を食べる(栄養をとる)という実践に結びつくとは限らないそうです。結果に結びつくためには次の2つのことが必要になるそうです。①(脳で)結果を期待する気持ち②自分がそれをやり遂げる自信
このあたりの研究と実践例の紹介でした。

☆この行動科学を知っていると、子育てでは食べ物のことだけでなく宿題をさせること一つについても①②を踏まえて子どもに呼び掛けることができるな~と、思いました。
たとえば、漢字が苦手な息子に、『ママは子どもの時、空に字を書いて覚えたよ、漢字を覚えると知的に見えてもてるよ』みたいな感じでしょうか…。

実践例紹介『食ではぐくむ豊かな心』 講師:石川桂子氏(瀬戸市立西陵小学校栄養教諭)
このかたは、瀬戸の給食センターでの勤務を経て栄養教諭となってから子どもたちの食育実践のために熱心に取り組んでいらっしゃいます。講演では熱心な活動のようすがヒシヒシと伝わってきました。
子どもたちに『4140この数字何だと思う?』で始まる授業の様子(4140は西陵小で1年間に残された牛乳の本数)は、子どもが体験を通して、食べ物に感謝していく様子がよくわかりました。
このかたのお話をきくと、西陵小学校と西陵小学校PTAの活動がとても熱心で、一人の教諭の意気込みでこんなに学校のスタイルが変わるんだという驚きが一番でした。
☆やはり、人を育てるのは人なんですね。